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※この文章はその1からの続きになっています。
もし読んでいない方はこちらからお読みください!!
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指…、指が4本に!? いつからだ?? いや、ちょっと待て、俺っていつからこの星ににいるんだ?
記憶の整理をしようとして、俺の記憶の断片が曖昧だという事に気付く。どうやら構造ルールの認識の齟齬が起こり始めているらしい。
よく思い出せ! 俺は地球出身のフリーの運び屋だ。キレたとき、よく中指立てていた彼奴だ!!
落ち着いてゆっくりと指を確認する。指はちゃんと5本あった、良かった。戻っている。周りを見回して、俺は認識を合わせる。ベット、テーブル、プール、地球、ピーワン、俺…。
どうにか、落ち着きを取り戻した俺は尋常ではない汗を書いていることに気がついて辺りを見渡す、窓辺からはさっきと何も変わりのない午後の日差しと風を感じた。
どうすればいいのか、あと1ヶ月半、急がせても1ヶ月弱だろうか? そこまで体が持つとは到底思えない。第一ここへ来てまだ3日程だ、それでこの症状である。
どうすればいい?
再度心の中に問いかける。しかし…。
実は、どうすればいいか答えはもう分かっているのだ。ただ、それを口にするのはあまりにも非現実すぎた。それにまだやれる事がある。
時間がない、焦る気持ちを行動に移す。まず宇宙船だ。ディーラーには、とにかく命の危険を伝えてなるべく早く手配してもらえるようお願いした。
掛け合うが、どれだけ急いでも1ヶ月はかかるという。くそ! 自分の身の危険であればもっと早く出来るだろう!
それがテレパシーで伝わったのか、ディーラーは、その気持ちはこの形そのままで、作業員にお伝えするよう手配してくれる旨のことを約束してくれた。
また、ホテルのボーイになるべく早くこの宙域を脱出できる方法を聞いた。
しかし、そこまでの長距離便は、年に数回しかないらしい。しかも、丁度一昨日に出てしまったばっかりだという。
なんてこった…。
目の前が、真っ暗になった。どうやって帰ったか分からないが、ホテルの自室に戻り外を眺めている。やることはやった。が、今日から1ヶ月間、毎日、毎分、毎秒、存在の消滅の恐怖に怯えながら暮らさなくてはならないのだ。
今日、寝たら明日はいなくなっているかもしれない。ふと思った思考に囚われ、身震いする。いや、大丈夫だ、今までなんとかやって来れたじゃないか! …しかし。
気がつくと、俺は忘れ形見の息子の写真を片手に必死に祈っていた。助けてくれ、助けてくれ。
どれだけ祈っていただろうか、辺りはもう暗くなっていた。俺は一人で肩を震わせて泣いていた。生きて帰りたい。こんなところで、誰にも分からず、知られず消滅するなんていやだ…。
ひとしきり泣いた後、落ち着いた俺は、とりあえず食事をすることにした。少ない食料だが、どうせ死ぬなら腹いっぱい食べるか、と考え、しかし手が止まる。
そうだ、もう一つの選択肢がある…。
……
続きます!! 続きはこちらのページから
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