愛する人にタバコをやめて欲しいあなたへ! 小説 これが禁煙の辛さだ!! その4

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※この文章はその1からの続きになっています。
もし読んでいない方はこちらからお読みください!!
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翌日、俺は連れられてホテルのほうへ向かった、道中やはり気になるのは食料の事だ。所々植物などは生えているので、それらを煮て味付けすればいけるのではという気がしてくる。こう見えても料理の腕は一流だ。材料さえあれば、どんな食材でも美味しくできるという自負はある。

到着してチェックインを済ます。まずまずの部屋だ、バカンスを楽しむのには丁度良い。食事だけいつもの固形食になってしまうのが残念だが。

ディーラーとは、定期的に連絡する旨を伝えて別れた。とはいえ連絡手段は電話のようなものがある訳ではなく、テレパシーで双方同士がアクセスし合うというもののようだ。

ただ、俺の場合はその回線がにぶいので、時間を指定してアクセスする事にした。意識を全てそちらに集中すれば何とか大丈夫だという事も分かった。

あと、ここの人(と、言えばいいのか…)は飲み物も飲まないらしい。じゃあどうやって失った水分を賄うんだよ? と思ったが、不毛な議論になりそうだったのでやめた。それが向こうにとってみれば、俺たちが食事する事と同じくらい普通の事なのだ。答えなんてある訳がない。

食材探検は明日にして、今日は休む事にした。外では反重力装置付きの水槽のようなものに、人が沢山入っている。定期的に中でかき回すらしく、それが始まるたびにキャーキャー嬉しそうな叫び声が聞こえる。

水には入るんだな、飲まないだけで…。

俺はとりとめのない事を考えていた。実はさっきその場所にいって口に含んでみたのだ。それ用に成分が調整されてるのかも知れないが喉の渇きが潤されるような感覚は無かった。もしかしたら原始構造も違うのかもしれないな。

たまにあるのだ、その宙域だけ「構造ルール」が変わる場所が。構造ルールとは、言わばその地域のローカルな物理ルールだ。分かりやすく例えると、ゲーム機のとゲームの構成内容はどのゲームでも一緒だが、ゲームのカセットが変わるとその世界のロジックが変わるのと同じ理屈だ。

いや、だとしたら本当にうかうかしてられないのかも知れない。その時俺は昔見聞きした事を思い出したのだ。

実は構造ルールの異なる世界の移動は、ものすごく簡単らしい。何故かというと、物の存在に必要な記述最小単位「波」は、プレーンな状態で持っていくならどこの世界でも同じ「波」としてあつかわれるからだ。

しかし、俺を俺たらしめているのは他でもない、その世界の構造ルールのお陰だ。つまり俺が俺として存在できるのは、構造ルールが俺を俺として認識しているからに他ならない。

ところが、余りに違う構造ルールの場所だと、俺を俺という個体として認識出来ず、ただの「波」の集合体、所謂バグとして認識してしまう。ただ、まだ元の世界の構造ルールが俺のことを認識してくれていればいいが、問題はその認識が途切れた時だ。

俺が…消える!?

ははは、そんなまさか。俺は思い直した。現に俺はこうして問題なくやれている。食事や水の問題はあるが、それは俺の知っている物理次元の範疇だ。問題ない。

新しい建物だ、作り立てのいいにおいがする。物珍しさもあって俺は部屋にあるものを物色しようとする。しかし、その時あり得ない事に気がついた。

まさか…指一本なくなっている。

……

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