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※この文章はその1からの続きになっています。
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反重力装置付きの車に乗せられて程なく、目的の地に到着した。その間、色々とこの星の事を聞いた。
どうやらこの星では昔は声の発声を使ってコミュニケーションしていたが、今は進化してテレパシーしか使わないらしい。プライバシーの心配もしたが、その点は心配ないようだ。
どういう意味かを尋ねたら、意図的に思考の遮断も出来るらしく、俺のようにテレパシーを繊細に制御出来ず、思考をダダ漏れさせていたような種は進化の途中で淘汰されたしまったみたいだ。
まあ、口はあなた達のいう盲腸みたいなもんかな? そのような例えをして、ディーラーは笑った。俺もつられて笑う。意図的に思考の制御が出来るのなら羨ましいな。話も早そうだし。
俺たちは豪華な個室に案内された。話もつかの間、料理と思われるものがどんどんテーブルに並べられていく、連れも皆も顔がほころんでいくのが分かる。食事の前に話も弾む。
向こうにしてみても大口の顧客と契約が結べたことは、さぞうれしいだろう。俺としても、根が良い奴らだというのが分かったので喜ぶ顔をみるのはまんざらではない。しかし…。
何故、箸をつけない? いや、そもそも食べる道具をもらえてないんだが。
そんな状況でありながら皆は満足そうだ。口々に料理と思われるものの感想を話したりしている。俺は尋ねた、何故食べないのかを。すると予想だにしない回答がかえってきた。
「もうすで」に食べている…だと…………!?
俺は愕然とした。なんとこいつらのエネルギーの接種方法は、いわゆる「気」のようなものを取り入れたり交流することによってのみ行われるらしい。
俺のように食事によって接種する方法は、進化の途中で捨ててしまったようだ。口はその名残りらしい。
やばいぞ。俺がそう感じたのは、現在の食料と水だけでは1ヶ月以上過ごすのに到底足りないと気づいたからだ。
俺はこの非常事態を皆に伝えた。しかし、この俺の悲痛な訴えも不思議そうな表情と笑みで返されてしまった。皆のその目とイメージはこう伝えていた。
私たちと同じように、「食」を捨てて「気」を頂けば良いのに。と。
どうやらこちらにエネルギーの接種方法を「食」か「気」か、選択出来ると思われているらしい。「気」なんて食べた事はないぞ。俺はかぶりをふった。とたんに皆の興味がこちらにくる。
この星では「食」による接種だけで生きる生き物は、動物も含めても本当にごく少数らしい。少なくともこの場にいる者は生まれてから一度も食べ物を口に入れた事はないそうだ。
俺はこの星に食べられるものがあるのかを聞いた。皆、首をかしげてお互いをみやる。この調子では良い答えは期待できそうにない。調べれば生えている植物も水も加工して食べれるのでは? という事だった。
俺は、宇宙船もすぐ手配できたこともあり、食に関する事も状況を軽く考えることにした。最悪本当になにも食べるものが無くても、1日1食のペースにすれば1ヶ月はしのげるだろう。
俺は思い直して、ウイットにとんだ彼らの会話をザッピングしながら楽しんだ。
……
しかし、俺は後日、かなり大きな思い違いをしていた事に気づく事になるのだった…。
……
続きます!! 続きはこちらのページから
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